
タクシー運転手だけの離職率は公表されていませんが、タクシーを含む「運輸業,郵便業」の離職率は9.0%(2025年)で、全産業平均13.7%より低く、数字の上では「高い」とはいえません。
一方で、タクシー運転者の平均勤続年数は8.3年と全産業平均(12.7年)より短く、「入れ替わりが多い」という印象には一定の根拠もあります。
この記事では、厚生労働省や業界団体の公的データをもとに、タクシー運転手の離職の実態と、辞めにくい会社の選び方を解説します。
タクシー運転手の離職率は「標準〜やや低め」
データから言えること・言えないこと
- 言えること:タクシーを含む「運輸業,郵便業」の離職率(9.0%)は全産業平均(13.7%)より低い
- 言えること:タクシー運転者の平均勤続年数(8.3年)は全産業(12.7年)より短く、宿泊・飲食業や介護(いずれも9.6年)と近い水準
- 言えないこと:タクシー運転手だけの離職率は公的統計がないため、「◯%」と断定することはできない
つまり「離職率が極端に高い仕事」ではありませんが、「一つの会社に長く勤める人が多い仕事」ともいえない、というのが実態に近い評価です。
公的データで見る離職率
運輸業,郵便業は全産業より低い
厚生労働省「雇用動向調査」では、産業別の入職率・離職率が公表されています。タクシー単独の区分はないため、タクシーを含む「運輸業,郵便業」の数字を見てみましょう。
| 区分(2025年) | 入職率 | 離職率 |
|---|---|---|
| 運輸業,郵便業 | 9.6% | 9.0% |
| 全産業 | 14.7% | 13.7% |
※出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査」(2026年9月公表、物流専門メディアLOGISTICS TODAYの報道による)。なお前年の令和6年調査では全産業の離職率は14.2%でした。運輸業,郵便業にはトラック・バス・鉄道・郵便なども含まれます。
運輸業,郵便業では入職率が離職率を0.6ポイント上回り、働き手は「入ってくる人の方が多い」状態です。ただし、この区分の大半はトラック運送などが占めるため、タクシーの実態をそのまま表すものではない点に注意が必要です。
平均勤続年数は全産業より短い
タクシー運転者に限った「定着」の目安になるのが、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の平均勤続年数です。全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の集計では次のとおりです。
| 職種・産業 | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|
| タクシー運転者 | 56.8歳 | 8.3年 |
| 製造業 | 44.1歳 | 15.3年 |
| 建設業 | 45.5歳 | 13.7年 |
| 卸・小売業 | 44.3歳 | 14.5年 |
| 宿泊・飲食業 | 43.1歳 | 9.6年 |
| 社会福祉・介護 | 46.0歳 | 9.6年 |
| 全産業 | 44.4歳 | 12.7年 |
※出典:全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(令和8年5月)。
タクシー運転者は平均年齢が高いにもかかわらず勤続年数が短いのが特徴です。これは、40代・50代で他業種から転職してくる人が多く、勤続年数がゼロから数え始められることが大きく影響していると考えられます。勤続が短い=すぐ辞める、とは限らない点に注意しましょう。
この章のポイント
- 運輸業,郵便業の離職率9.0%は全産業13.7%より低い
- タクシー運転者の平均勤続年数8.3年は全産業より短いが、中途入職中心という構造が影響
- タクシー単独の離職率は公表されていない
「タクシーは離職率が高い」と言われる理由
1. コロナ禍で運転者が大きく減った
東京タクシーセンターに登録された法人乗務員は、平成28年度末の71,461人から、コロナ禍を経た令和4年度末には61,069人まで減少しました。全国でも、運転者証の交付件数は2018年度末の約29.9万件から2023年度には約23.2万件まで減ったという試算が政府の会議資料で示されています。「タクシー運転手が大量に辞めた」という印象は、この時期の減少によるところが大きいといえます。
2. 入社直後に辞める人が一定数いる
入社後の時期別の離職率を示す公的データはありませんが、給与保証期間の終了後に収入が下がったり、隔日勤務の生活リズムに慣れなかったりして、早い段階で辞める人がいるのも事実です。辞めた後に別のタクシー会社へ移る人も多く、その理由は「タクシー運転手をすぐ辞めても、またタクシーに再就職する理由」で詳しく解説しています。
3. 歩合給で収入の差が大きい
全タク連は、タクシー運転者の賃金は歩合給が中心のため、分布が下にも上にも広がる構造だと分析しています。売上を作れる人は他産業以上に稼げる一方、売上が伸びない人は収入が低くなりやすく、それが離職につながることもあります。
離職が減りつつある背景
近年は、運転者が定着しやすくなる方向の変化も起きています。
- 賃金の上昇:全国のタクシー運転者の年間賃金推計額は約451万円で前年比8.7%増(令和7年)。全産業の伸び(3.5%)を大きく上回りました。
- 運賃改定:東京23区・武三地区では2022年11月と2026年4月に運賃改定が行われ、いずれも運転者の労働条件改善が目的に掲げられています。
- 入口のハードル低下:2024年2月に地理試験が廃止され、二種免許の受験資格も2022年5月に緩和されました。
- 東京の運転者数の回復:東京タクシーセンターの法人乗務員の登録人数は令和7年度末に66,733人まで回復しています。
- 平均年齢の低下:タクシー運転者の平均年齢は56.8歳で、前年から3.4歳下がりました。若い世代の入職が進んでいることがうかがえます。
この章のポイント
- 「離職率が高い」という印象はコロナ禍の大量減少の影響が大きい
- 賃金上昇・運賃改定・規制緩和で、定着しやすい環境が整いつつある
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辞めにくいタクシー会社の見分け方
業界全体の離職率よりも大切なのは、「自分が入る会社で長く続けられるか」です。次のポイントを確認しましょう。
応募前・面接で確認したいこと
- 働きやすい職場認証制度:国が運転者の職場環境を「見える化」するために進めている「運転者職場環境良好度認証制度」の認証を受けているか
- 給与保証の中身:保証の金額・期間と、終了後の歩合率・足切りの有無
- 研修体制:新任研修後の同乗指導やフォローアップがあるか
- 勤務形態の選択肢:隔日勤務・日勤・夜勤を選べるか、途中で変更できるか
- 配車環境:配車アプリや無線の件数が多く、新人でも売上を作りやすいか
- 面接での質問:「新人の1年後の定着率」「入社半年の平均売上」などを聞いてみる
メンタル面で長く続けられるかどうかは「タクシー運転手に向いてる人はメンタルが強く、すぐに辞めない」、長く続けて成果を出している人の特徴は「タクシー運転手の勝ち組とはどんな人?」も参考になります。東京の市場環境については「タクシー転職で東京だけが違う理由」で解説しています。
よくある質問
Q. タクシー運転手の離職率は何%ですか?
A. タクシー運転手だけの離職率を示す公的統計は公表されていません。参考として、厚生労働省の雇用動向調査(2025年)では、タクシーを含む「運輸業,郵便業」の離職率は9.0%で、全産業平均の13.7%を下回っています。
Q. タクシー運転手の離職率は他の仕事と比べて高いですか?
A. 産業全体の数字で見る限り、高いとはいえません。ただしタクシー運転者の平均勤続年数は8.3年で全産業平均の12.7年より短く、宿泊・飲食業や介護と同程度です。中途入職が中心であることも影響していると考えられます。
Q. タクシー運転手は入社後どのくらいで辞める人が多いですか?
A. 入社後の時期別の離職率を示す公的データはありません。一般には給与保証期間の終了時期や、勤務形態に慣れるまでの最初の数か月が辞めやすい時期と言われるため、入社前に保証期間や勤務形態の選択肢を確認しておくことが大切です。
Q. 東京のタクシー運転手は減っていますか?
A. 東京タクシーセンターの法人乗務員の登録人数は、令和4年度末の61,069人から令和7年度末の66,733人へ増えており、コロナ禍後は回復傾向です。ただし平成28年度末の71,461人にはまだ届いていません。
Q. 離職率の低いタクシー会社はどう見分ければいいですか?
A. 国の「働きやすい職場認証制度」の認証を受けているか、給与保証や研修が充実しているか、勤務形態を選べるかが目安になります。面接で定着率や新人の平均売上を質問するのも有効です。
まずは、登録してみよう!「情報収集」という段階でもどうぞ
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まとめ
タクシー運転手の離職率の要点
- タクシー単独の離職率は非公表。参考の「運輸業,郵便業」は9.0%で全産業13.7%より低い
- 平均勤続年数は8.3年と短めだが、40〜50代の中途入職が多い構造が影響している
- 「高い」という印象はコロナ禍の大量減少によるところが大きく、現在は賃金上昇・運賃改定で回復傾向
- 業界平均より「入る会社で続けられるか」が重要。給与保証・研修・勤務形態・認証制度を確認しよう
参考資料
- LOGISTICS TODAY「運輸・郵便、入職率9.6%で離職率上回る」(2026年9月8日、厚生労働省「令和7年雇用動向調査」の報道):https://www.logi-today.com/997495
- 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/gaikyou.pdf
- 全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(令和8年5月):https://taxi-japan.or.jp/zius/wp-content/uploads/2026/05/令和7年度賃金構造基本統計調査.pdf
- 東京ハイヤー・タクシー協会「東京のタクシー2026」:https://taxi-tokyo.or.jp/assets/pdf/datalibrary/hakusyo2026all.pdf
- 内閣府 規制改革推進会議 参考資料「タクシー乗務員の供給不足について」:https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_05local/231212/local_ref02.pdf
- 国土交通白書2024 第3節「自動車運送事業等の動向と施策」:https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r05/hakusho/r06/html/n2532000.html
※本記事は2026年10月29日時点で公表されている資料をもとに作成しています。離職率・勤続年数は統計上の平均値であり、個々の会社の定着率を示すものではありません。




