
結論から言うと、当面のタクシー運転手の給与・収入は「伸びる可能性が高い」と編集部は予測しています。
完全無人タクシーは、東京で段階的に100台規模まで広げる計画で、有人タクシーのドライバー不足のほうが先に深刻になっているからです。
この記事の結論|無人化は「脅威」より「不足を補う存在」になる可能性が高い
要点:完全無人タクシーは2027年中に東京で始まる見込みですが、スタートは小規模です。
人手不足・運賃制度・運転できる条件の限定という3つの事情から、有人ドライバーの収入は当面伸びる方向だと考えます。
- 完全無人タクシーは段階的に100台規模まで広げる計画で、いきなり有人タクシーを置き換える規模ではない
- 運転者数は2019年から2023年にかけて約2割減っており、人手不足が先に解消される見込みは薄い
- 無人タクシーの料金は、現行の自動認可運賃に基づいて設定される見込みで、安さで客を奪う構図になりにくい
- 無人運転は「決められたエリアと条件の中」での運行であり、条件外の需要は引き続き有人が担う
- 運行管理・車両管理など、ドライバー経験を活かせる新しい仕事も生まれつつある
※本記事は公表されている計画と統計をもとにした編集部の見通しであり、将来の給与を保証するものではありません。
完全無人タクシーはどこまで進んでいる?【2026年10月時点】
要点:商用の完全無人運行はまだ始まっていません。
GO・Waymo・日本交通が2027年中、Uber・日産・Wayve・日の丸交通が2026年後半の試験運行を目指している段階です。
| 項目 | GO・Waymo・日本交通 | Uber・日産・Wayve・日の丸交通 |
|---|---|---|
| 発表時期 | 2026年9月15日 | 2026年3月に協業の覚書、同年8月に日の丸交通との運行パートナーシップを発表 |
| 目標 | 2027年中に、運転手が乗らないレベル4の完全無人タクシーを商用運行 | 2026年後半に東京でロボタクシーの試験運行を開始 |
| 台数 | 段階的に100台規模まで拡大する方針 | 試験運行の台数規模は確認できませんでした |
| 車両 | 当初はジャガーのEV「I-PACE」 | 日産「リーフ」にWayveの自動運転AIを搭載 |
| 運賃 | タクシーの自動認可運賃に基づく見込み | 確認できませんでした |
| 運行体制 | 日本交通が現場の運行管理や営業所運営を担当 | 日の丸交通が運行主体として車両基地の運営、整備、点検、清掃、充電などを担当 |
| 現在の状況 | 2025年から都内7区で試験走行。現在は日本交通の乗務員が同乗 | 試験運行の初期は、日の丸交通のドライバーが安全要員として乗車 |
※GO・Waymo・日本交通の計画は、道路交通法や道路運送法に基づく許認可の取得と安全性の確認が前提で、2027年中の運行開始は確定したものではありません。
つまり現時点では「完全無人タクシーが増えて運転手が余る」状況ではなく、「これから少しずつ走り始める」段階です。
見出しの「増加」は、今後の見通しを含めた表現として読んでください。
運転手の給与・収入は上がると考える6つの理由
要点:台数の少なさ、人手不足、運賃の仕組み、運行条件の限定、賃金水準の格差、新しい職域の6点から、収入は伸びる方向と見ています。
理由1|無人タクシーは100台規模のスタートで、都内の供給量に比べて小さい
GO・Waymo・日本交通の計画は、段階的に100台規模まで広げる方針です。
一方、東京ハイヤー・タクシー協会の過去の資料(2016年時点)では、都内の法人タクシー車両数は約3万4,500台でした。
数字は古いものの、100台という規模は桁が違う小さなスタートです。
理由2|ドライバー不足が先に深刻化している
全国ハイヤー・タクシー連合会の調査によると、個人タクシーを除く運転者数は2019年の約29万2,000人から、2023年3月末には約23万2,000人へと20.4%減少しました。
平均年齢は60歳前後と高齢化も進んでいるとされます(国土交通省統計にもとづく報道)。
有人ドライバーが減る一方で、無人タクシーはまだ少数という状況では、ドライバー1人あたりの需要は高まりやすいと考えられます。
理由3|無人タクシーの料金は現行運賃ベースで、価格競争になりにくい
無人タクシーの乗車料金は、タクシーの自動認可運賃に基づいて設定される見込みと報じられています。
有人タクシーより極端に安くなる前提ではないため、料金の安さで有人タクシーの客を一気に奪う構図にはなりにくいというのが編集部の見方です。
理由4|無人運転は「決められたエリアと条件」の中での運行
レベル4の自動運転は、決められたエリアと条件の中で、運転を引き継ぐ人が必要ない仕組みです。
裏を返せば、条件の外にある需要は有人ドライバーが担い続けます。
駅や繁華街での乗り場待ち、急な遠距離、荷物の多い客、介助が必要な客などは、当面は人の運転が求められる場面だと考えられます。
理由5|他産業との賃金差を埋める圧力が続いている
全国ハイヤー・タクシー連合会が公表した令和7年賃金構造基本統計調査の整理では、タクシー運転者の年間賃金推計額は約450万円で、全産業の約546万円を約95万円下回っています。
この差は業界が人材を確保するうえでの課題であり、運賃改定などを通じた待遇改善が全国で進められてきました。
ドライバーが足りない業界ほど、処遇を引き上げる力が働きやすいと考えられます。
理由6|ドライバー経験を活かせる新しい仕事が生まれている
日本交通は無人タクシーの現場の運行管理や営業所運営を担い、日の丸交通は車両基地の運営から整備、点検、清掃、充電、稼働状況の管理までを担当する計画です。
試験段階では、現役ドライバーが安全要員として同乗しています。
無人化が進むほど、運行管理や車両管理、安全監視といった仕事が増え、ドライバー経験が評価される場面も広がる可能性があります。
現在のタクシー運転手の収入水準
要点:直近の統計では、タクシー運転者の年収は全産業平均より低い水準です。
伸びしろがあると見る理由は、この水準が出発点だからです。
| 区分 | 年間賃金推計額 | 備考 |
|---|---|---|
| タクシー運転者 | 約450万円 | 令和7年賃金構造基本統計調査。きまって支給する現金給与額(月約35.9万円)×12と年間賞与等(約19.8万円)から試算。平均年齢56.8歳 |
| 全産業 | 約546万円 | 全国ハイヤー・タクシー連合会の資料による |
※企業規模10人以上の統計値です。実際の収入は地域、会社、勤務形態、歩合率によって大きく異なります。
慎重に見ておきたい3つの注意点
要点:当面は収入が伸びるという見方に立っても、長期の不確実性は残ります。反対の見方もあわせて確認しておきましょう。
100台は「段階的に広げていく」規模として示された数字です。
計画では、運行が軌道に乗った次の段階で車種を拡大する可能性にも触れられています。
台数が想定以上に増えれば、有人タクシーの需要に影響が出ることもあり得ます。
無人タクシーが先に走る都心部は、有人ドライバーにとっても需要の多いエリアです。
全体の需要が足りていても、特定のエリアや時間帯では競合が起きる可能性があります。
タクシーの給与は歩合給が中心で、会社の給与体系や営業エリア、勤務形態によって差が出ます。
業界全体の環境が良くなっても、全員の収入が同じように伸びるとは限りません。
また、完全無人タクシーの開始時期や規模は、許認可や安全性の確認次第で前後する可能性があります。
最新の発表をこまめに確認することが大切です。
これから首都圏でタクシー運転手になるなら|今できる備え
要点:収入を伸ばすには、会社選びと働き方の工夫が重要です。無人化の時代でも、稼げる乗務員の基本は変わりません。
- 給与保証や研修制度、入社祝い金など、入社直後の条件を会社ごとに比較する
- 配車アプリの活用など、需要の多い時間帯・エリアで効率よく乗務する習慣をつける
- 接客やインバウンド対応、福祉輸送など、有人ならではの価値を高める
- 将来は運行管理や指導役など、ドライバー経験を活かせるキャリアも視野に入れる
まずは、登録してみよう!「情報収集」という段階でもどうぞ
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首都圏でのタクシー転職を具体的に考えるなら、次の記事もあわせてご覧ください。
- タクシー運転手の勝ち組とはどんな人?
- タクシー運転手に向いてる人はメンタルが強く、すぐに辞めない
- 地方から東京でタクシー転職するには?手順・準備・注意点を徹底解説
- 東京 寮完備のタクシー求人おすすめ11社
よくある質問
東京で完全無人のタクシーはもう走っていますか?
2026年10月時点で、一般の乗客を乗せる完全無人の商用運行は始まっていません。GO・Waymo・日本交通の3社は2027年中の開始を目指すと発表していますが、必要な許認可の取得と安全性の確認が前提で、開始時期は確定していません。現在は日本交通の乗務員が同乗する形で走行試験が行われています。
完全無人タクシーが増えると、タクシー運転手の仕事はなくなりますか?
短期的には、仕事がなくなる状況は考えにくいというのが編集部の見方です。完全無人タクシーは東京で段階的に100台規模まで広げる計画で、運転者数が減り続けてきた有人タクシーの不足を補う存在になる可能性があります。ただし、長期的な影響は不確実で、業界の動向を注視する必要があります。
タクシー運転手の平均年収はどれくらいですか?
令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした全国ハイヤー・タクシー連合会の資料では、タクシー運転者の年間賃金推計額は約450万円で、全産業の約546万円を下回っています。実際の収入は地域や会社、勤務形態、歩合給の水準によって大きく異なります。
給与が上がるというのは確実ですか?
確実ではありません。本記事の内容は、公表されている計画と統計をもとにした編集部の見通しであり、将来の給与を保証するものではありません。会社や勤務条件によって差があるため、応募前に求人票で給与体系を確認することをおすすめします。
今からタクシー運転手に転職するのは遅いですか?
遅くないというのが編集部の見方です。運転者数の減少と高齢化が続くなか、人材を求める会社は多く、入社祝い金や給与保証などの条件を用意している会社もあります。まずは会社ごとの条件を比較することが大切です。
まとめ
完全無人タクシーは、東京で2027年中の商用運行を目指す段階にあり、規模も段階的に100台まで広げる小さなスタートです。
一方で有人タクシーの運転者数は減少と高齢化が続いており、運賃も現行の自動認可運賃ベースで設定される見込みです。
こうした事情から、当面のタクシー運転手の給与・収入は伸びる可能性が高いと編集部は予測しています。
ただし、長期的には導入台数の拡大や需要への影響など、不確実な要素も残ります。
無人化の動きを恐れるのではなく、条件の良い会社を選び、稼げる働き方を身につけることが、これからの収入を左右するポイントになりそうです。
※本記事は2026年10月12日時点の情報にもとづく編集部の見通しです。
計画や制度は変更される場合があるため、最新情報は各公式発表をご確認ください。
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参考にした情報と確認できなかった項目
参考にした情報
- MONOist「2027年内に東京で完全無人の自動運転タクシーが運行開始、当初は100台規模で」(2026年9月16日)
- Forbes JAPAN「Waymoの完全無人タクシーが2027年中に東京へ──GO・日本交通と商用化目指す」(2026年9月15日)
- DX Magazine(GO・Waymo・日本交通の発表に関する記事。2027年中の開始は確定ではない旨の記載)
- Gizmodo Japan「来年の東京、GOで呼んだタクシーに運転手はいないかも」(レベル4の定義・試験走行の状況)
- Impress Watch「Uber、東京でロボタクシーを26年後半開始 Wayve・日産と協業」
- SBbit「Uber、日の丸交通と東京ロボタクシーで提携、2026年後半に日産リーフで試験運行へ」(2026年8月)
- 全国ハイヤー・タクシー連合会 公開資料「令和7年度賃金構造基本統計調査」(タクシー運転者と全産業の年間賃金推計額比較)
- FinancialField「令和7年賃金構造基本統計調査にもとづくタクシー運転者の年収試算」
- PRESIDENT Online(全国ハイヤー・タクシー連合会の調査にもとづく運転者数の推移)
- くるまのニュース(国土交通省統計にもとづく運転者数・平均年齢)
- 東京ハイヤー・タクシー協会 公開資料(都内の法人車両数。2016年時点のため参考値)
確認できなかった項目
- Uber・日産・Wayve・日の丸交通の試験運行の台数規模、運賃の扱い
- 完全無人タクシーが有人タクシーの営収に与える影響を示す国内の実績データ(国内では商用運行が未開始のため)
- 2026年時点の都内法人タクシーの最新車両数(本文では2016年時点の資料を参考値として使用)
- 首都圏に限定した、タクシー運転手の最新の年間賃金推計額
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